2015年1月7日水曜日

StartupとLaw Firm (1)

Wilson Sonsini Goodrich & Rosati(WSGR)で働き始めて4ヶ月が経ちました。
わずか4ヶ月ですが、会社設立、その後の基本法務、さらに資金調達を中心に、かなりの数のStartupに関与させてもらいました。その数20社以上、日本では考えられない数だなと感じています。

私がこれだけの数のStartupに関与できているということはつまり、それだけの数のStartupがWSGRに依頼しているということです。

これをシリコンバレー、さらにはベイエリア全体に視野を拡げてみれば、それこそ途方も無い数のStartupがローファームにリーガルサポートを依頼しているということになります。
先ほど「日本では考えられない数」というのは、すなわち、「日本ではStartupがStartupの段階で法律事務所にサポートを依頼することがまだまだ少ない」ということと同義ということになります。

そういえば、1度WSGRでお世話になっているボスに、日本の関係者から紹介のあったアメリカ中西部の会社の買収案件について最低限の情報のみで見積りをお願いした時に、そのボスから「シリコンバレーの会社であれば、最初の段階からほぼローファームが関与しているから、大体どのような状態か想像がつく。だから、最低限の情報のみであったとしても見積りを出すこともできるといえばできるが、中西部の会社は状態が分からない。会社内部がむちゃくちゃになっているかもしれず、そうなれば費用も当然あがる。だから、そのような情報だけでは、見積を出すことは不可能だ。」と言われたことがありました。
後半部分は、それほど驚くことではありません。日本でもよく経験することですし、見積もりを出すのは難しいことだと思います。

むしろ、注目すべきは前半のくだりですね。そう、シリコンバレーでは、最初からローファームが関与していることが当たり前なのです。もちろん、ローファームによって質にバラツキはあるのでしょうが、それでもローファームが関与している以上、ある程度の水準は確保できているのが通常なのでしょう。だから、最低限の情報のみであっても見積を出すことができる・・・というのようです。シリコンバレーにおけるローファームとStartupの緊密な関係を窺い知ることのできた一瞬でした。

ということで、せっかく弁護士(といっても日本の弁護士資格ですが)としてWSGRに勤務しながらSartupに関与しているのですから、これから何回かに分けて、シリコンバレーに置けるローファーム(若しくは弁護士)とStartupの関係について、気付いたことをしたためていきたいと思います。
竹内信紀