そんな中私が参加したのはこちら↓。
StartupHealthという名の、ヘルスケア関連のインキュベーション兼投資家のような役割を果たしている団体が開催した、ヘルスケア関係のスタートアップのピッチ&デモです。
55社という結構な数のスタートアップが参加していたこともあり、ここでは逐一その内容に触れることはしませんが、一つなかなか面白い視点がありましたのでご報告します。それは、「ヘルスケア関連のスタートアップの分類」です。
このイベントでは、参加しているスタートアップを以下のように分類していました。
「Provider Efficiency」
「Changing Patient Behavior」
「Continuing Care Between Visits」
「Data and Devices」
「Senior and Home Care」
「Care Access and Navigation」
それぞれのざっくりとした内容は以下の通り。
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「Provider Efficiency」…患者さんと医師の間のアポイント調整を合理化するアプリや、患者さんがドタキャンしてしまい空いたアポイント時間に診察を希望する人をマッチアップするアプリ・サービスなど、円滑な医療サービスの提供をサポートするビジネス。
「Changing Patient Behavior」…生活習慣病など、日常的な記録やサポートが重要な慢性疾患をマネージするアプリやサービスなどを用いたビジネス。
「Continuing Care Between Visits」…病院を訪問して診察を受ける機会と機会の間(例えば月に一度病院に罹っている方の、診察と診察の間の一ヶ月)をマネージするサービス。処方箋の提供・処理といった薬事周りのサービスや、発展途上の国に対する医療機会の提供という観点から構築されたサービスなど。
「Data and Devices」…クラウドベースでのゲノム分析と「予測医療」(何年以内にどういった病気になる可能性が統計上高い、といったデータ分析提供など)、カードサイズの血液検査キット(しかも患者が自ら処理できるためラボに送って次回検査時に診断、という手間が省ける)、医師同士が比較的珍しい病気の発生などを記録する疫学的なデータベースに関するビジネスなど。
「Senior and Home Care」…オンラインでの介護ケア合理化サービス、各種ウェアラブルの開発など。
「Care Access and Navigation」…医師への支払い(アメリカでは病院への支払いと医師への支払いが別々に請求されます。)をするプラットフォームの提供、医療サービスにかかった費用をマネージするサービスなどのビジネス。
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どうでしょう、なかなか面白い分析だと思いませんか?
近い将来、突然病院に行きたくなったときはスマートフォンのアプリで「お腹が痛い」ボタンを押せば、GPSで近くの病院で空いているお医者さんに予約が入るようになるかもしれません。診察後の支払いはスマートフォン経由のクレジットカードでサササっと済ませ、処方箋は支払いと共にスマートフォンにバーコードが送られてくるようになる。診察の前後にかかる時間はとても短縮され、ちょっとした隙間の時間でお医者さんの診察を受けられるようになる、そんな未来はもうすぐそこにありそうです。
そして、将来的には、オンラインでの診察という時代もきっと来るのでしょう。日本では医療関連の法律やその解釈の課題があり、すぐに実現するのは難しいかもしれません。
でも、ニーズがあり、お医者さんが満足のいく診断をすることができる環境を整えることができれば、きっとそういう未来がやってくるはずです。そしてそれは、遠隔地での医療問題など、社会的に解決すべき課題に資する方向であることは間違いないはず。安全という第一に重視すべき課題を大切にしながら、そんな未来がやってくるときのための準備も、少しずつ始めたいものです。